避難所でのケータイ用URL

避難所の方はケータイ用URLでどうぞ http://moblogger.r-stone.net/blogs/7759419816038073705

2011年5月15日日曜日

「青空くん」の話

 自衛隊が集積した、山となった被災写真・・・私たちは、その救済に悪戦苦闘しています。その中で、とても印象的な写真がありました。青空を背景に元気いっぱいに微笑む、小さな男の子の写真です。傷んだ写真を見続けるのは、サルベージ側も辛いものがあります。そんな中で、洗浄後にロープに干された写真の中で輝いている、彼の幸せそうな笑顔は、私たちを勇気づけてくれるようになりました。

 いつともなく彼は、私たちの間で「青空くん」と呼ばれるようになりました。彼の無事を信じることが、私たちの密かな願いにもなりました。

 その後、「青空くん」の写真はたくさん見つかりました。ポイントはそれが、インクジェットだったと言う点です。これまでインクジェットプリンタで印刷された写真は、濡れに弱いと言われてきました。私たちもアドバイザーからは「インクジェットの被災写真はあきらめた方がよい」と言われていました。しかし、「青空くん」の写真は(他と比較してですが)あまりに状態がよかったので、学生ボランティアさんが、ちょっと洗わせてもらいました。すると驚いた事に、上手にやれば若干の色落ち程度で、むしろ普通の写真よりも状態よく洗浄できることが発見されたのです。

 こうして私たちは、これまでダメだと言われてきたインクジェットの写真を、大量にサルベージする事に成功しました。そして「青空くん」は、多くの被災写真の救世主になりました。

 この話には、後日談があります。あるテレビを見ていたボラさんが、その中に「青空くん」を見つけたのです。

 その番組は、山元町の小学校から子供たちが疎開する特集でした。そこに登場していた男の子は、写真より明らかに大きいものの、その笑顔はあきらかに「青空くん」のものでした。「彼が無事だった!」と、蜂の巣を突いたような大騒ぎになりました。「写真を確認しろ!」「テレビ局に電話だ」「写真を返せる!」と、現地派遣隊長も必死でした。




 番組では、彼の妹が亡くなったと報道されていました。サルベージした中には「おにいちゃん、おたんじょうびおめでとう」と書かれたケーキの写真があります。もしもその写真が本当に彼のものなら、私たちは何としても、絶対に彼に写真を返さないといけません。

 何とか疎開先と連絡がつき、「青空くん」は21日、山元に写真を取りに来てくれます(大複写会の日なのは偶然です^-^;)。無事だった彼に写真を渡す時に、君は被災写真のヒーローなんだよと、教えてあげようと思います。

 そして大事なのは、まだたくさんの「青空くん」が埋もれているという事です。彼は偶然テレビに出て、偶然見つけられたけど、同じように流されてしまって見つからない「思い出」が、被災アルバムの中にはたくさんあるはずです。もっともっと力を集めれば、もっとたくさんの「青空くん」に「思い出」を返せます。

ぜひ、皆さんの力をお貸し下さい m(__)m。